昭和レトロ
1970年代は、すべてが輝いていました。
終戦の混乱から脱して、国内が安定し、日本が高度成長に向かって歩み出した頃です。
大阪万博、ミニスカート、ロック、ヒッピー…。
既存観念の破壊、自由を求める若者たち、そんな中で多感な青春を過ごせたのは、
ある意味幸せだったかもしれません。
その頃、そんな社会のあらゆるよろしくない風潮を吸収すべく、私が多くの時間を費やしたのが
友人宅のT医院でした。
自宅兼用の大きな病院の芝生で犬と遊び、音楽を聴き、漫画やイラストを描いて過ごした日々。
ガラスケースに閉じ込めておきたいような日常は、今は遠くへ過ぎ去り、独り暮らす友人の
お母様は、家を閉じて引っ越されることになりました。
よく管理された、「昭和レトロ」と呼ばれるモノたちが残されました。
処分するにはあまりに勿体なく、お母様とご相談の上で私がそういったモノの第二の人生を
見つけるお手伝いをさせていただくことになりました。
こんな素敵なお仕事をいただけることを、本当に有り難いと思いながら、年代の重みを感じる
美しい家具、道具、日用品などとの対話を楽しんでいます。
写真は1ヶ月ほど前に撮った、T医院に咲く最後のモクレンの花です。