雑草

2016年12月26日

いろいろとやるべき仕事はあったのですが、その日は雨上がりで畑の土が程よく湿って草取りに最適だったため、夫とふたりキャベツ畑の草取りをすることにしました。
なるべく除草剤は使わない、と決めているため、畑は草の中にキャベツが植わっているような感じでした。ここはキャベツの生産量の高い全国シェアを誇る地域。畑という畑にはキャベツが並んでいますが、どの畑にも草1本生えてなくて見渡す限りうちのような畑はありません。
夕暮れて手元が見えなくなるまで草を取り、黄昏の中家へ戻って夕食を食べながらテレビをつけると、絵本作家の甲斐信枝さんが出ていました。
これまで、甲斐さんの絵本に出会ってはいましたが、絵本は知っていても作者については知りませんでした。テレビで見る甲斐さんは、なんとユニークなおばあちゃん!地面に這いつくばって、雑草の言葉に耳を傾け、また言葉を返します。
農家にとって宿敵とも言える雑草をこれほどまでに愛し、その存在に重きを置く人がいることに、まず驚きました。でも、彼女の言うことには不思議と共感できるのです。虫も雑草もそれぞれ与えられた場で懸命に生きている。ただね、人間もね困るんですよ、雑草が多いと虫がついてキャベツに穴が開き、生産性が落ちるのです。私も生きて行かなくてはなりません。せめて、畑の雑草を彼らと対話しながら手で抜くのは、彼らへの尊厳の気持ちです。この地球上の狭い1点で、同じ太陽の光を浴びながら、生きとし生ける者全てに、心からの賛辞を送ります。
たまたま(めったにしない)草取りをした日、テレビで甲斐さんのことを知ったのは神様からのプレゼントかな、と思いました。

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